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この夏の決算は

2004/09/07(火)

 キリンチャレンジカップ2004
 8月11日(静岡スタジアム エコパ)19:00
 日本代表 1(0−2 1−0)2 アルゼンチン代表

◆この夏はいろいろあった。

◆中国では日本代表がアジアカップで優勝し、ジーコ監督とイレブンの結束力を示した。
◆アテネでは女子がスウェーデンを破り、ナイジェリアに負け、準々決勝でアメリカに敗れた。勝ちも負けも1点差だが、桧舞台で大きな経験を得た。
◆U-23に小野伸二と曽ヶ端準を加えたオリンピックチームは、4年に1度繰り返される日本メディアのオリンピック熱にあおられて、アジア予選突破の喜びから、いつのまにか「メダルを狙う」チームへと持ち上げられたが、1次リーグで敗退した。

◆そして夏のシリーズの最後としてアルゼンチンを迎えてのキリンチャレンジカップ2004は、またまたアルゼンチンに敗れ、アジアチャンピオンは自らの短所と長所を見直すチャンスを得た。このアルゼンチン戦を含めての、「2004年度の決算」は——
●アテネ パラグアイ戦の不思議

◆試合がはじまって直後のプレーというのは、こちらが張りつめた気持ちで見ているからか、小さなことにも“オヤッ”と思うことがある。そして、あとで振り返ると、それが大きなポイントであったかもしれないと気付く。

【森崎のスタートは素晴らしいが…】

◆たとえばアテネでの日本オリンピック代表の第1戦でこんな場面があった。
◆相手に攻め込まれたあと、自陣でFKを得た。味方のクリアボールを拾った大久保がドリブルしたとき背後からパラグアイの1人が倒したファウルだった。このボールを闘莉王が前へ、大きく蹴った。ペナルティエリア左外まで森崎浩司が走って、このボールを受けた。いわゆる日本チームの第2列の動き出しの早さが表れた森崎のダッシュであり、ロングボールを送った闘莉王の狙いがぴったり合った。
◆ただし、森崎がボールを受けたとき、相手も1人いた。

1)森崎は小さなフェイクをかけたあと、斜め後方にボールを戻した。
2)エリア近くへ小野が走りこんできた。彼はノータッチで(自分の股の下を通した?)このボールを流した。
3)ボールに走り寄ったのは阿部勇樹だった。阿部は走った勢いをのせて右足でシュートした。
4)ボールは左ポストから1〜1.5メートル外へ飛んだ。

私が“オヤッ”と思ったのは、1)で森崎が自分でシュートに持ってゆかなかったこと。彼は左利きで、左へかわしてシュートすることも(もちろん相手DFに防がれることも)可能だった。しかし、自分よりも良い位置に自分より良いシューターがいると判断すれば、それにパスをすることも悪くない。
◆そこで森崎は右後方へパスを送る。
◆その2)の小野はシュートしなかった。相手が前にいたのと、後方のスペースに阿部が来ることを予想したのだろう。

【阿部勇樹のダイレクトシュート】
◆そこで3)の場面。阿部のノーストップシュートの位置は、ゴールポスト前方20メートル、左ポストよりやや外側によっていた。それを右足でダイレクトでシュートした。
◆後方から写したスローのリプレイを見ると、ボールは少しスライスして、結局ポストから離れたところへ飛んでいった。
◆阿部勇樹は私の好きな選手の1人だ。彼の右のFKは日本代表の大きな武器になるし、また実際になっていた。左タッチぎわのFKや左CKのとき、彼はファーポストまでコントロールできるという、これまでの日本人選手には数少ないキック力を持っている。
◆しかし、その素晴らしいFKやCKを蹴る角度は決まっている。
◆3)の場面の私の“オヤッ”は、彼がなぜ、ボールを止めて、自分の得意な角度で蹴らなかったのか。このとき、彼の前にはかなりのスペースがあったハズなのに。
◆彼がアウトサイドキックをどれだけ練習しているかは知らない。しかし、あの位置からニアポストぎりぎりに叩き込む自信があったのかどうか——。
◆シュートというのは、時には“ハズミ”で入ってしまうようなところもあるが、実際は理詰めのところが多い。なにしろ、足も手も長いゴールキーパーという専門家が守っているのだから、中途半端では入らない。
◆世界のストライカーは自分の得意の型をつくり、その型へ持っていき、自信のあるシュートで守りの専門家を破るのである。
◆自ら素晴らしいシュートの型を持つ阿部だけに、“オヤッ”と疑念が湧いたのだった。

【小野伸二のかわすプレー】

◆小野伸二の素晴らしい才能については、ただただ感心することが多いが、時々“オヤッ”と思うことがある。
◆このパラグアイ戦で、点を取られたあと好位置からのFKがあった。阿部にとって得意のところだが、ボールの近くには彼はいなかった。と、小野は右横へパスをした。数メートル以上だったか、そこに阿部がいて蹴った。しかし飛び出してきた相手に当たってしまった。
◆ああ“かわしたナ”と思った。かわすプレーは小野のスタイルで、彼の柔らかいボールタッチのドリブルでもパスでも見られる芸だが、パラグアイ側が勢いづき、カサにかかって日本をやっつけようとしているときに“かわす”のはどうだったか。むしろ、普通にいって小野自身か阿部のFKの力を見せるほうがいい ——と思ったものだ。
◆相手がガーンと当たってくるときは、こちらもガーンとゆくのが勝負ごとの原則だ。ひらりとかわして高笑いする牛若丸のスタイルも悪くはないが、かわし損なうと余計に相手を勢いづかせることになる。
●イタリア戦での“オヤッ”

【さりげなくトリッピングした男】

◆イタリアのキックオフで始まり、彼らが左サイドでボールをまわし、日本にボールを奪われるとトリッピングした。このときの彼らのボールタッチで、左DFのモレッティも、前線の11番スクッリも、そしてもう1人も左利きだと分かった。
◆このFKで闘莉王がペナルティエリア正面へロングボールを送り、相手DFがヘディングした。その落下点に走りよった大久保が、1人を引きワザでかわし、次に2人にはさまれながら、うまいステップで外に逃げた。2人のうちの1人、前から戻ってきた男がまたトリッピングをした。大久保とすれ違いながら、そ知らぬ顔して左足でひっかけたところがいかにもイタリア選手らしく、若手でもこうした芸はできるといわんばかりだった。“オヤッ”と思ったのは、さりげなくファウルした足が左足だったこと。こういう足の出し方は“利き足”でないと出来ないから、そのプレーの位置から見て右のMFが左利きなのか——と思ったものだ。

【左利き、左利きによる先制ゴール】

◆開始後1分35秒のこのFK(大久保が倒されたもの)は闘莉王が蹴ってカベに当てたが、このあと1分足らずの間にイタリアが左クロスから先制した。
◆イタリアがいったん攻めこんだあと、DFラインまで戻ったボールをCDFが左前方へライナーでフィードし、開いたスクッリが受け、徳永を前にしてバックパス。モレッティが受けて中へドリブルした後、左足でタテパスを出し、それをスクッリがダイレクトでセンタリングした(徳永のスライディングタックルはセンタリングされた後だった)。ボールはペナルティマーク近くに飛び、それをジャンプしてオーバーヘッドキックしたのがデ・ロッシだった。
◆このときの攻めに関わった3人はいずれも左利き。その左足の前にわずかなスペースを与えたのが、モレッティ→スクッリのパスとなり、スクッリのクロスとなり、最後にオーバーヘッドキックの大ワザになってしまった。
◆相手の利き足を封じるのは守りでは大切だと、誰もが知っているハズなのに——。
●キリンチャレンジカップ2004 vsアルゼンチン
 いい時期での頂門の一針

◆8月18日、静岡スタジアムエコパでのキリンチャレンジカップ2004、日本代表対アルゼンチン代表は、アジアチャンピオンを勝ち取った日本代表がアルゼンチン代表にどこまで対抗できるか——を見るよい機会だった。

◆残念ながら日本代表はアジアカップでの激戦の疲れで体が動かず、強敵と戦うための心の準備も体の備えもできておらず、2−1で敗れた。
◆特に前半はスコア2−0、シュート数はアルゼンチン8、日本0、CKが7対0と完敗だった。後半は相手も長い旅と時差の影響が出て動きが鈍くなり、日本は懸命の頑張りで1ゴールを返した。勝負を捨てない執念は悪コンディションの中でも発揮され、ジーコ監督の下での代表チームの結束力を示すことができた。
◆しかし、その後半においても、追加点こそ生まれなかったがアルゼンチン代表の見せた攻撃の組み立ては見事なもので、この部分だけを見てもまだアルゼンチンとの間に差のあることが明らかになった。

◆日本のサッカーはかつてないほど国内に浸透し、野球につぐ人気スポーツとなった。おかげでアジアカップも、オリンピックの予選も、本大会も、全てテレビで見られるまでになった。
◆一方、メディアの関心が高まるとともに世間の期待も強くなる。オリンピックではアジア予選の突破が劇的であっただけに、ようやく予選を勝ち抜いたチームが、本番が近づくといつのまにか「メダルをめざす」ことになり、山本昌邦監督は、テレビの表現を借りれば「世界サッカーを知り尽くした男」になってしまう。アテネではこうした過大な期待に応えることができなかったが、アジアチャンピオンのフル代表の方は幸いなことにアルゼンチンという優れた相手と戦って、ワールドカップでのアジア予選再開の前に自分たちの短所も長所も確認できたことを「頂門の一針(注)」として素直に受け止めたい。

◆試合の流れのなかで、そのいくつかを見てゆきたい。
(※注:急所をつく教訓のこと)

【ボール奪取への積極性】

◆前半の1分40秒、アルゼンチンのFWディエゴ・ミリトがボールを持つ宮本恒靖の斜め後方から体をぶつけてボールを奪い、リケルメ、ルシアノ・ガルシアと渡って右から攻撃したとき、FWの積極的なボール奪取に、彼らのこの試合にかける意気込みを見た。
◆「高い位置でのプレッシングからボールを奪い、すばやく攻撃する」というのはJリーグのほとんどの監督がくり返す言葉だが、アテネでは、それをパラグアイが日本相手にペナルティエリア内でやってのけた。その先制ゴールが尾を引いて日本が立ち直れなかったのはご存知の通り。
◆この日のアルゼンチンの最初のゴール(4分)も彼らの左サイドからの攻撃をいったん日本側が食い止めたにも関わらず、ゴールのすぐ近くでアルゼンチンが奪い返し、そこからの再攻撃で1−0としたのだった。

【リケルメのパスから3回の1対1】

◆先制ゴールにつながる攻撃はリケルメのドリブルから始まった。

1)センターサークルの2メートルばかり外側、日本陣内の中央で後方からのボールを受けたリケルメは、中田浩二と向かい合いつつドリブルし、右足でタテにパスを送る。
2)このボールをディエゴ・ミリトが受けようとするのをマーク役の宮本恒靖が足を伸ばしてタックル(2人とも倒れる)。
3)ペナルティエリアへ転がるボールに加地亮とディエゴ・プラセンテが走り寄り、両者スライディングで取ろうとする。
4)ボールはゴールラインへ転々とするも、エリア内側から田中誠が、外側からプラセンテが詰め、プラセンテがスライディングする。
5)ゴールラインぎりぎりでプラセンテが追いつき、ペナルティエリアぎりぎりからラインに沿ってドリブルしたとき、中田浩二が前方を防ぐ。
6)プラセンテのタッチしたボールは、彼を囲んだ中田と田中の足に当たってエリア内をゴールエリアに向かう。
7)そのボールに反応したのがマリオ・サンタナ。ボールを拾うと右足でキープしつつ、小さなステップで宮本をかわし、中澤佑ニを前にしてシュートしたボールは中澤の足の間を抜けてゴール正面に。
8)そこに走りこんだガレッティが滑り込むように右足シュートを決めた。

【タマぎわの強さ、タマぎわの粘りとは】

◆このゴールの直接の原因を、ジーコ監督は「タマぎわの強さ、粘りの問題」と指摘した。
◆最初の宮本のタックルのあとのルーズボールを、プラセンテが加地、田中と次々に競り勝ったのを、3人目の中田浩二が前を押さえて3人で囲む形にした。いわゆる数的優位、組織的な守備が、相手の個人的なタマぎわの強さを押さえる形になったにも関わらず、田中も加地もボールを蹴りだすのが遅れ、それをマリオ・サンタナに拾われたのが致命傷になった。

【攻め始めた日本だったが…】

◆先制して余裕を持ったアルゼンチンは、守りが薄いとみれば速く攻め、厚いとみればボールをゆっくりキープして崩しにかかる。日本も調子を少し取り戻し、小笠原から相手のDFラインのウラへパスが出るようになり、福西のシュートなども見られたが、シュートまではゆかない。

◆アルゼンチンは37分にプラセンテが左足でシュートし、バーに当てた。リケルメのキープからの、ほんの僅かな空間を通すグラウンダーのパスをプラセンテが受けてドリブルし、深い切り返しで加地をかわしてシュートしたのだった。

◆その3分後に2点目が生まれた。
◆このゴールは右サイドの攻めから、ペナルティエリア内でノーマークの選手を生み出したもの。その一つ一つに、アルゼンチンらしい芸が組み込まれていた。

【こんどはスカローニの突破から】

1)日本のボールをハーフライン手前で奪ったアルゼンチン。主将でDFのワルテル・サムエルから右DFのキロガにパス。
2)キロガのすぐ前、右タッチぎわにガレッティがいた。
3)しかし、キロガのパスは、内から外(右前)へ走ったスカローニへ送られた。
4)走るスカローニの足元にフワリと落ちてバウンドしたボールは、見事にスカローニのリーチの範囲内で、彼らのパスの技術の巧さがここでも生きている。
5)そのスカローニの内側を中澤佑ニが並走し、スカローニの進路に入ろうとした。
6)スカローニは自分の前にバウンドしたボールを右足で小さく浮かしたから、ボールは中澤が伸ばした右足の上をこえた。
7)その中澤の背中と中田の間をスカローニは疾走。
8)ゴールラインから15メートルあたりでスローダウンしてクロスを蹴る体勢に入る。
9)僅かに遅れた中田がDFラインのウラへ通すクロスに備えて足を伸ばした。
10)スカローニのパスはそちらでなく斜め後方へ。
11)そこへリケルメが上がってきた。
12)ペナルティエリアぎりぎり、ゴール正面からやや右よりの絶好のシュート位置でボールを受けたリケルメだが、強振ではなくインサイドで軽く当てて、エリア内へダイレクトパス。
13)エリア内正面やや左よりのサンタナが左足で止め、大きく踏み込んで右足インサイドキックでシュート。飛び出してきたGK楢崎の右を抜いてゴール右下へ決めた。

【ポジションプレーの正確さ】

◆ 日本が全体に前がかりになり、三都主も攻撃に加わっていたときに、スカローニが中澤と中田の2人を突破したために、中央部は相手のD・ミリトとサンタナの2人に対して宮本と田中の2人だけ。そこへ、後方から上がってきたリケルメにボールが渡った(しかもシュートレンジで)ために、田中も宮本もシュートに対応しようとしたが、リケルメがウラをかいた。

◆右サイドの突破には定評のあるガレッティは三都主の前進をマークして後方にいた。ガレッティに代わってサイドを走ったスカローニが、やはりサイド突破が出来て、しかも落ち着いて有効なクロスを送るところに、アルゼンチン各プレーヤーの持つ技術、特に、このポジションではこのプレーが出来るというポジションプレーの確かさがある。それがものをいったゴールだと思う。

◆日本は後半のはじめに田中誠に代えて松田直樹を、中澤佑ニに代えて藤田俊哉をピッチに送った。さらに12分(57分)には、福西崇史、小笠原満男の交代として遠藤保仁と本山雅志を、そして35分(80分)には玉田圭司を引っ込めて山田卓也を投入した。

【鈴木のヘディング アジアを制したCK】

◆10分までにアルゼンチンはリケルメのシュートが3本あった。

◆日本は中盤に元気な遠藤、本山の2人が入ってから、しばらくは攻勢が続いて、22分には玉田のシュートがあった。
◆三都主が左サイドの得意な角度からゴール正面へ送ったパスを、玉田がDFを背にして左足でタッチした。ボールコースは大きく変わったが球勢が弱く、GKフランコがセーブキャッチした。玉田にとってこの日、最初で最後のシュートだったが、三都主のこのときの角度のパスは今の日本代表にとって数少ない決定的なラインの1つだから、ものにする工夫がこれからも必要だ。

◆6分後に右CKから鈴木隆行のヘディングが決まって、スタンドはこの日初めて沸いた。
◆三都主のゴールから離れるカーブキックに、宮本がニアポストぎわ、松田がボールのコースのニアで跳び、鈴木隆行がその後ろ、ゴールエリアすぐ外、正面やや左よりの位置でジャンプヘッドした。タイミングのよいジャンプで強く叩かれたボールは勢いがよく、懸命に伸ばしたフランコの左手も届かなかった。
◆ゴールから離れるボールは、アジアカップのときから日本チームの1つの策ともなっていた。三都主のキックも素晴らしかったが、このCKの原因となったのは、ロングボールをゴールラインまで追った鈴木の労を惜しまぬランだった。

◆1点を取られて、アルゼンチンも“省エネ”ではなくゴールへの意欲を見せた。
◆32分にプラセンテからイバガサ(後半20分ガレッティに代わって出場)にスルーパスが出て、イバガサがゴールラインぎわからフワリと浮かし、ロドリゲス(後半16分サンタナに代わって出場)がヘディングした。ゴール右下へと飛んだボールをカバーに入った三都主が足に当て、リバウンドを蹴ったスカローニのシュートは楢崎がキャッチした。

◆長い旅行の後のアウェーゲームの、後半中ごろ過ぎ、最も疲れを感じる時間に、再び攻めへの意欲をかきたてるアルゼンチン代表と、それを相手に気力を奮い立たせる日本代表——そのプライドをかけた戦いに、記者席の私たちも引き込まれていった。
◆ただし、同じように疲れで動きがスローになる中で、日本側と比べてアルゼンチンのミスの少ないこと、選手間の距離、間隔のバランスのよいこと——。

【アルゼンチンの選手の質の高さ】

◆ 昨年のヨーロッパのビッグファイブ(イタリア、スペイン、イングランド、ドイツ、フランスの5ヵ国)のトップリーグのロスター(選手登録)を見ると、アルゼンチン人は83人でブラジル(70人)よりも多い。スペインなどでは言葉の点で有利であることもあるが、やはりこの数字はアルゼンチン育ちのプレーヤーの質の高さを示すものだろう。
◆それは彼らが、選手としての基礎となるボールテクニック——ボールを止める、ドリブルする、キックするといった技術が高く、また少年期からの遊びと訓練で培われた、ボールの奪い合いに強いこと——といった個人的資質に加え、チームワークに対する理解度が若いうちに進んでいるからだといわれている。

◆日本は1930年代から、チームワークを高めることでアジアで頭角をあらわし、プロ化による選手のレベルアップで世界のサッカー界でも最も進化の速い国の1つに挙げられている。
◆今年のアジアカップ優勝は、各国の台頭の中で、中田英寿や小野伸二、稲本潤一たちが不在でもアジアの王座につくという実績を残し、日本代表全員のレベルの高さを示したといえる。しかし、それぞれの試合がきわめて厳しいものであったことは、力の差が僅かであったことを示している。

◆対戦したアルゼンチン代表は、決して代表の1軍を約束されているメンバーではないが、日本代表との間に技術の面で差のあることを見せた。
◆アジア勢の急追を受け、個人力では一目おく相手も出始めている今、日本代表はもちろん、代表選手を送り出すJリーグでも、アルゼンチンとの個人差を埋める努力を重ねなくてはなるまい。

◆ アテネ・オリンピックでも、日本が勝てなかったパラグアイとイタリアを破ってアルゼンチンが優勝した。人口3千万人の国に、キリンチャレンジカップのイレブンクラスの選手が何十人といるという。1億2千万人の人口を持つ日本で、メジャースポーツを目指すわれらがサッカーがそれに追いつけなければ、世界のトップを目指すことはできない。

◆個人力アップへいま一度目を向けること——多くの指導者がこの試合のビデオを見直してそう考えてくれれば、8月11日、あの湿度90%の辛い試合も、将来へ向けた大きな布石となるハズだ。

【2004年度の日本代表】

日本代表 (監督:ジーコ)
◇キリンカップサッカー2004
 7月9日 日本 3−1 スロバキア  (広島)
 7月12日 日本 1−0 セルビア・モンテネグロ  (横浜)

◇アジアカップ
 グループリーグ 7月20日 日本 1−0 オマーン  (重慶)
         7月24日 日本 4−1 タイ  (重慶)
         7月28日 日本 0−0 イラン  (重慶)
 2勝1分、Bグループ首位で準々決勝へ
 準々決勝 7月31日 日本 1−1(PK4−3) ヨルダン  (重慶)
 準決勝  8月3日 日本 4−3 バーレーン  (済南)
 決勝   8月7日 日本 3−1 中国  (北京)

◇キリンチャレンジカップ2004
 8月18日 日本 1−2 アルゼンチン  (静岡)

オリンピック代表 (監督:山本昌邦)
◇キリンチャレンジカップ2004
 7月25日 日本 0−1 オーストラリア五輪代表  (長居)
 7月30日 日本 4−0 ベネズエラ  (国立)

◇アテネ・オリンピック
 8月12日 日本 3−4 パラグアイ  (テッサロニキ)
 8月15日 日本 2−3 イタリア  (ボロス)
 8月18日 日本 1−3 ガーナ  (ボロス)

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