« 不満の中に美点の確認 | トップページ | 8月15日のフットボーラー »

続・キリンチャレンジカップ

2003/08/05(火)

【FKからの揺さぶりで同点ゴール】    

JFAの川淵三郎会長でなくても「大人と子どもの差」と言いたくなるような両者の形勢が、ちょっとしたところから転向して、日本が同点ゴールを奪うのだから、サッカーは不思議なものだ。

28分、相手ペナルティエリア右外、2メートル。ゴールラインから12メートルの好位置からのFKが日本に与えられた。そして

1)根本が左足でキック  
2)中央で相手DFがヘディングしたのが再び根本の足元に落下  
3)根本は妨害にくる一人をかわし、左足でハイクロス  
4)韓国DFが二つヘディングを続けてクリアする  
5)そのボールをエリア左後方15メートルで三田が拾って前方の石川にパス  
6)ゴールラインから10メートル、エリア左側ぎりぎりのところから、石川は左足で強いボールを中央へ送る7)これが一番近くの韓国のキャプテン、チョ秉局(チョ・ビョングク)の足に当たって、角度が変わり、ニアポストぎりぎりに飛び込んでしまった。    

いささか幸運な、オウンゴールだった。  

ただし、このゴールは、その原因となるFKのチャンスをつかむ手順が、相手の意表をつくという点で見事だった。  

それは松井のヒールキックのパスから、  

1)右タッチラインぎわで、相手に囲まれなが ら自陣の方を向いたまま、彼は左足のヒール(かかと)でボールをタテに出した。   
2)内側からいいスタートを切った石川が、右のオープンスペースでこのボールを取り、内を向いてドリブル。
3)それを韓国のチョ秉局(チョ・ビョングク)が倒して(イエロー)FKとなった。  

この松井のヒールパスは、彼の得意芸のひとつ。相手側は、中寄りにいた石川が、外のスペースへ走るとは感じなかったのだろう。ヒールキックで、しかも相手が予期せぬオープンスペースを狙ったという、二つの意外性が重なって、石川はスピードを生かして妨害なくボールを取り、内側(ゴールの方)に向かって、ドリブル突破を敢行したのだった。  

日本のサイドからの攻撃を警戒していた韓国側にとっても、この攻めはちょっとした衝撃だったハズ。FKとそのあとの日本の波状攻撃に、それまでの自信満々の応対ぶりとはやや違っていた。  

【大久保のノーマーク・シュート】  

松井は30分にも右スローインからチャンスを生み出した。エリア内への鈴木の動きに対して、低く強く投げ、ボールはよく滑って韓国DFの足先を通って鈴木にまで達した。  

鈴木はノーマークで、ゴールライン近くの深い位置でボールをキープ、ゴールエリアに近づいてから大久保へパスを送った。パスも狂いなく大久保に達したが、大久保の右足インサイドのシュートはGKの上を抜き、クロスバーに当たってしまった。このシュートがなぜ、決まらなかったのかー、当事者を含んで、パスのボールの小さなバウンドから、大久保のインパクトなどについて、その失敗の原因を突き止めなくてはなるまい。 後半はじめの松井のドリブルシュート。タイムアップ直前の田中達也のヘディングと、惜しいチャンスが日本にもあった。韓国は185センチのチョ宰榛 (チョ・ジェジン)をはじめとする身長での優位を利して、左右からのクロスや、崔成国(チェ・ソングク)のドリブルやパスなどで、日本の倍以上のチャンスを作り出した。彼らのシュート失敗にも助けられたが、相手の強い接触プレーにも馴れた日本の守備陣も驚くほどの粘りをみせて追加点を奪われずに終わった。 

【ライバルの互いの進化】  

今度の韓国のU-22代表は、韓国の歴史のなかでもいいプレーヤーがそろっているチームだと思う。ボールタッチが柔らかくなり、技術革新が進みはじめているようで、しかも、伝統の活動量(タフネス)を残している。  

FWのチョ宰榛(チョ・ジェジン)はその長身でアジアではヘディングで相手の脅威となるだろう。1950年代の崔貞敏(チェ・ジョンミン)の速さや70年代の車範根(チャ・ボンクン)の力強さとは、また違った特色だが、反転プレーにはやはり先輩達の伝統が生きている。  

彼らに比べると、現在のU-22日本代表は全体に体格の点では劣る。しかし、いくつかの決定的なチャンスを生み出した時のように、いつ、どこで、互いの特色を組み合わせるかを、自分達で作り上げれば、アジアのトップとみられるこの相手にも通用するハズだ。ただし、ミャンマー戦以来の個人技術の進歩の遅いのが気になる。例えば石川の右足、左足のクロス(あるいはパス)の精度。このプレーヤーほどの能力があれば半年で一気に高められると思うのだが・・・。  

もし、日本のパスとシュートの精度があがり、少ないチャンスで日本が勝つようになれば、韓国は今の基礎の上にもっとシュートを磨くことになる。ライバルとはそういうものだ。  

若いうちから、いいライバルがいて互いにいい刺激になる ー キリンチャレンジカップはそのことを知ってよかったと思う。  

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 続・キリンチャレンジカップ:

コメント

コメントを書く