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開幕したコンフェデレーションズカップ 日本まず1勝

2003/06/20(金)

 6月18日 
 コンフェデレーションズカップ
 日本(1勝) 3(1-0 2-0)0 ニュージーランド(1敗)

◆パリ・サンドニのスタッド・フランスで行われた2003年FIFAコンフェデレーションズカップの開幕試合で、日本は3-0でニュージランドを破った。

◆ジーコ監督にとっては、就任以来初の公式国際試合、また日本サッカーにとっては2002年ワールドカップで、トルコに敗れた第2ラウンドの1回戦以来、1年ぶりのFIFA主催の公式戦。3-0の勝ちは、日本の再スタートとして、まずはうれしい試合といえた。

もちろん、相手のニュージーランドは参加チーム中で、最も低いレベルだから勝っても当然といえる。さきのキリンカップの第2戦、対パラグアイのメンバーをほとんどそのままに、MFの福西を稲本に代えた布陣は、「ほう」という感じだったが、格下で余裕のある試合に、フル代表経験の浅い坪井や山田、そして遠藤を登用し、コンフェデ杯の過密スケジュール(中1日の休みで3連戦)を乗り切るためと、各選手の能力を公式試合の場で見たいと考えたからだろう。三都主アレサンドロの左DF起用は、もともと彼は「万能型ドリブラー」というわけでなく、スピードをあげているときにボールをもらえば大きな力を発揮するが、相手 DFに前に立たれるとそう簡単には抜けない。そしてまた、前方にいて、後方からボールを受けるのはうまいわけではない。そんなところから彼をウイングFB の形でやらせてみたいと思ったのだろう。

◆口の悪いものの中には、三都主に国際試合の実績を稼がせるタメという声もあるが、そこまで勘ぐるのはどうだろうー。

日本のプロ第1号として知られている奥寺康彦がレベルの高いドイツのブンデスリーガで成功したのは、レーハーゲル監督が彼をブレーメンで左サイドのDFに配置したからだった。強いシュート、キック力を持ち、スピードもある奥寺は(はじめから)、前を向いて発進するこのポジションで本領を発揮したのだった。三都主にも、そういう意味で期待がかかる。もちろん、彼がさらにいくつかのポジションプレーを磨くことを期待しての話だがー。

◆日本のメディアが“黄金のカルテット”に比べた4人のMF群のうち、小野は不在、稲本が守備的な役柄を遠藤とともに演じ、中田英寿と中村俊輔が攻撃面に多く絡んだ。

この2人のキープ力とDF、MF間での慎重な(あるいは慎重すぎるほどの)ボールまわしで、まず、安定したボールキープを主に、相手のカウンター、とくにサイドからのクロスを警戒しつつ、ここというときに攻撃を仕掛けた。仕掛けて生み出したシュートチャンスは10本。そのうち3ゴールが生まれた。

◆1点目は、稲本が前がかりの位置でボールを奪ってから、中田・高原がからみ、高原が突っついて左サイドへ出したのを中村俊輔が左ポスト近くの角度のないところからシュートを決めた。彼らしいやわらかな左足のタッチだった。「本当はボールを浮かせたかった」が、本人の言葉らしいが、実際はゴロでゆっくりとボールはゴール右下にころがりこんだから面白い。第2列から、ゴールライン近くまで走り上がった中村の狙いが的中し「第2列からの飛び出しによってのゴール奪取」という、現代サッカーのひとつのモデルだった。

◆2点目の中村英寿のドリブルシュートは、彼らしい強くて正確で、ビューティフルなゴール。サイドからの短いパスを受けた彼がゴールに向かってドリブルして、相手DFがタックルに出てこないのを見ながら余裕を持ってのシュートだった。現地からの話では、ヒデはパリに来てからも連日シュート練習を続け、前日も同じコースのドリブルシュートを重ねていたという。

◆今年1月に行なわれた「兵庫サッカー塾」でもシュート練習の回数は上達に比例すると説いたし、雑誌やホームページ上でも、シュート練習の重要さと、その効用を語ってきた私としては、中田の練習の話と、そのみごとなシュートの映像は若いプレーヤーへの大きな刺激になるもので、とてもうれしいことだ。

◆3点目は山田が右に攻め上がり、中へ送って中村俊輔がヘディングで決めた。俊輔のキープに始まり、俊輔ー山田ー俊輔で完結したゴールは直前に、大久保や高原の交錯する動きがあって、俊輔が飛びこむスペースがノーマークとなり、連係という点からも美しい得点となった。

◆高原、大久保に得点はなかった。ひとつには高原の調子がよくなかったのが大きい。大久保は体の切れもよく、動きも速くて、チーム全体に鋭さを加えている。あとはシュートにかかるタイミングをつかむことだ。そしてタイミングをつかんで点を取るようになれば、余裕が生まれ、シュートフェイントなども使えるようになるハズだ。

◆コンフェデ杯、第2戦の相手はフランス。第3戦はコロンビア、両者の初戦をテレビで見たが、ひとりひとりの速さ、体の強さは相当なものだ。無論、ニュージランドとは格が違う。

◆アルゼンチン代表に完敗して、ジーコ監督への風当たりが強くなったが、5月に来日したアルゼンチン代表は、いいプレーヤーが揃い、見事にまとまったチームであり、それが若くてモチベーションが高かったから、日本代表の歴代のどのチームが戦ってもそう簡単に引き分けたり、ひとアワ吹かせたりできる相手ではなかった。

このキリンカップのアルゼンチン代表と日本代表とのプレーの質の差については、7月の滝川第ニでの兵庫サッカー塾(黒田和生・滝ニ監督主催)でも話し合うつもり。その内容はまた、この片言隻句のなかでも折りにふれて紹介したい。

◆ジーコ監督のいまのやり方については、私は日本のサッカーが1993年のJリーグ発足から10年間、ワールドカップ開催と、そこでの好成績を目標に、しゃにむに走ってきた選手やチームの育成について、「教えることも重要だが、プレーヤーが自らの発想や工夫によって、技術を高め体を強くしチームワークを考えるのが大切」という世界の常識に立ちかえろうという風に受け取っている。

選手の自覚を促し、天下の中田英寿までシュートという、ごく基本的な技術の練習をすること、そしてそのことにメディアが注目しはじめたということに、私はジーコの、日本サッカーへの提言が少しずつ浸透しはじめたのだろうと理解している。

◆フランス戦を楽しみにー。   

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