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Jの試合から

2003/05/07(水)

【ゴールを向かう姿勢】    

日韓戦(4月16日、ソウル)で永井の幸運の決勝点が生まれてから、気のせいかJでも自らの突破によるゴールが増えているようだ。4月29日のガンバ対鹿島で1-1のあと、鹿島が奪った決勝ゴールは、タイムアップ直前の深井のドリブルを止めようとした反則によるPKだった。仙台対磐田の後半36分の仙台の同点ゴールは、仙台エデーの突破を防ごうとした鈴木の反則によるPKだった。    

シュート・レンジ(シュートを決められる距離)にはいっているのにパスを出そうと受け手を探すよりも、自らシュートか突破をはかる姿勢が大切(そこで変化が生まれればパスも効果がある)とは、言われ続けてきたことでもある。    

◆中盤にはいいプレーヤーが輩出するのにストライカーがなかなか出てこない。プロになって、これだけサッカー人口が増え、これだけ優秀なコーチがいるのに、まだ釜本邦茂(1968年メキシコ五輪得点王)を超えるものはいないという声もあり、FCJAPANの掲示板にも、そうした意見が寄せられている。     

◆セレッソ大阪のマッチデープログラムのコラム「蹴球・足球・フットボール」で私は大久保嘉人の「ゴールへの意欲」の強さと、そこへはいってゆく「図々しさ」について紹介したが、これは少なくとも私が見てきた日本の歴史に残るストライカーは、釜本邦茂をはじめ、この気持ちの強い選手だったからでもある。     

◆ゴールへの意欲が強いからこそ、シュートの反復練習をする。それも、相手がいなくても、1本1本、自らイメージを描き、実戦のなかに身をおくのと同じ気持ちで回数を重ね、失敗があれば、なぜ右に外れたか、なぜバーを超えたか、なぜGKの正面をついたかなどを自らチェックし工夫をするのである。    

ヘディングも同様だ。(ヘディングは誰かに蹴ってもらうか、投げてもらうかしなくてはならない。)    

釜本邦茂はボールが蹴られた瞬間にその落下点を読むのが天下一品だった。それは大学生のとき、GKからのロングボールの落下点へ入り、ヘディングをする練習を繰り返したからでもある。大リーグのイチローが外野フライの落下点へ、いち早く入ってゆくのと同じことなのだ。      

Tphoto030503okubo ◆大久保はそうしたゴールへの“欲”が自らの技術アップを早めてきた。もともとドリブルが上手で、体がしっかりしていて、バランスがよい。デビュー早々の試合で、エリア近くのFKを自分で志願して蹴ったほど。(その態度に反発した古い仲間もいたらしい)1年目にインタビューをしたとき、「シュートの体勢にはいろうとして、蹴らなかったのは相手に妨害されたのか」との私の問いに、「周囲からの“パスをよこせ”という声が気になった」と答えたこともある。「自分がシュートしようと思えば、シュートすればよい。年齢には関係ないことだ」と言っておいたが・・・。      

◆セレッソのチーム状態がよくなってきたのも、今年の大久保にはプラス。なんといっても、モリシが再びモリシになったのが第一。スペインでの苦い経験と、その後の不調をバネに西澤が盛り返したのも大きい。徳重にデンソー時代のゴールゲッターの感覚がもどったこと、長身バロンが加わったことでチーム全体の攻撃力があがり、また布部、廣長、久藤といった経験ある中盤がそろって、パスの経路やタイミングが多彩になったことも、大久保の技術力を引き出すのによい環境になっている。    

対浦和戦で、坪井を背にし、廣長のうまいパスから左へ流れるとみせて、右足のトラップ(自分の股下を通す)で反転し、得意の右足シュートを決めたのは素晴らしいが、この試合で、彼が右から2度、ゴールライン際にドリブルし、短い距離のチョップキックで、高いボールをゴール前へ送ったのにも舌を巻いた。相手のリーチであっても、その足を越えてクロスが届くように急角度で上がるボールを蹴ったのだ。    

◆U-22の対ミャンマー、第1戦でもドリブル・シュートで1ゴールした。    

◆ジュビロの復調と藤田俊哉の絶妙のパス・アンド・ゴールに続くトラップとシュートについては、のちほど。 

(撮影:冨越正秀)

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