5月21日 (神戸ウイングスタジアム)
19:00 日本 4(2-0 2-0)0 ニュージーランド
◆ラグビーの代表はオールブラックスの名で世界に知られているが、オフホワイツと呼ばれるサッカー、ニュージランド代表は残念ながらそうはゆかない。
それでも1982年ワールドカップ・スペイン大会には出場して、1次リーグでブラジル・ソ連・スコットランドと同じ第6組で戦った。このときスコットランドに懸命に食い下がるオフホワイツをマラガのスタジアムで見た。3-0とされてから2点を挽回し、結局、伝統と力の差で5-2で敗れたが、攻撃的で好感の持てる試合ぶりだったのを覚えている。
彼等の後輩のフル代表は、昨年のオセアニア選手権でオーストラリアを破って優勝し、今年6月のコンフェデレーションカップ(フランス)にも出場し、日本やフランス、コロンビアと第1ラウンドで顔を合わせることになっている。
◆そんなニュージランドからやってきたU-22のオールホワイツはー。
U-22といっても、20歳以下が6人(日本は2人)もいるこのチームは、まず、彼らの特色であるハズの体力や体格面でも、決して強くなくて、技術差を補うことができず、試合は日本の一方的なものとなった。
◆日本の4得点はいずれもビューティフルで、1点目は根本の左からのクロスに中山がファーサイドでヘディングした。ニアに大久保がいて、2人がクロスの線上にはいったのがよかったし、中山のジャンプヘッドは的確だった。
2点目は左サイドのFKを阿部勇樹がファーポストへ蹴り、これに大久保が飛びこんだもの。
3点目は後半はじめから登場した森崎浩司がミドルシュートを決め、4点目は山瀬が、田中がDFラインのウラへ送りこんだボールを追ってGKの上を抜いた。
◆観戦したジーコはもっと多く得点できたハズだーと言ったようだが、それは観戦者のほとんどの感想だろう。
いまのU-22代表たちは、前の世代よりも若いうちからいい環境でプレーしていて、技術も高く、チームプレーの理解度も高い。それが攻勢を続けるなかからゴールの量産ができないのは、シュートやラストパスの精度の問題もあるが、同時に、シュートへもってゆく展開で、どこでタメをつくり、どこでムリをするかといった、ゴールを奪うための2つがまだつかめていないこともあるだろう。
◆ただし、シュートやパスの精度という点では、この日に阿部勇樹がFKでみせたロングパスはみごとなものだった。
たまたまこの試合の1週間ばかり前に、講談社の「フットボールニッポン 夏季号」(6月9日発売)の企画で彼のインタビューを引き受けて話し合ったこともあって、この日とくに注目していた。
前半24分にペナルティ・エリアのすぐ外、中央やや左よりの位置でのFKは、ゴールの左上角にあたって(ワールドカップでの日本−トルコ戦のサントスのキックと同じところ)ゴールできなかったが、大久保のヘディングゴールを生んだ40分のFKは、この日の圧巻といえた。
中山が突進して倒されて得たFKの位置は、左タッチラインの内側5メートル、ゴールラインから17メートル。阿部の右足で蹴られたボールは高く上がり、GKの手の届かぬ位置からカーブして、ファーポストぎりぎりに進み、それを狙って大久保がいいジャンプ・ヘッドで決めた。
コスタリカとの試合で彼は正面右より28メートルあたりのFKを直接決めているが、今度は左サイドから、ファーポストを狙った40メートルを超えるピンポイントのキックだった。オシム監督に、サイドからのFKはゴールの遠い側にはいるように狙えと言われているそうで、そのとおりのキックだが、これだけの距離をコントロールできるキッカーが現れたことでも、日本サッカーのレベルアップの記(あかし)といえる。
◆コスタリカ戦の直接ゴールと、この日の長大ピンポイントパスだけでも大きな武器であり魅力に違いないが、この正確な長蹴力、強蹴力を試合の流れのなかでも生かせるように期待したい。
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