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拝復、「最近のニュースに思うこと」です。

2003/03/04(火)

※「拝啓、賀川さん」へ寄せられたメッセージへのお返事です。

Sさん、「最近のニュースで思うこと」のメール拝見しました。Sさんのご意見に”同感”という方も多いと思います。

◆ユーロッパで活躍している日本選手の報道があまりにも日本人選手中心で、ゲーム全体を無視しているように感じる。特に馴染みのある地上波TVにその傾向が強く、これはサッカーを志す子供や興味を持ちはじめた新しいファンなどにはいいとは思えない。分析も加えたダイジェストやプレビュー番組が地上波などの影響力の強いメディアで放送してくれることを望んでいるー。これらに対して賀川はどう思うか、というのがメールの主旨でした。

Sさんのように不満を持たれる方も多いのは当然ですが、この傾向は日本のマスメディアとしてごく普通のことです。

◆こういう例があります。

いま文芸春秋社から出している『ナンバー』という立派なスポーツ雑誌があります。昨今ではサッカーに関するいい記事や写真が多く、好評のようで、スポーツ出版界でも古くからのサッカー専門誌は別にしてサッカーを取り上げて成功した例といわれているそうです。

ただし、この雑誌でも創刊以来長い間はサッカーには見向きもしませんでした。Jリーグの誕生する前のこの雑誌のラグビーとサッカーの記事の扱いは相当以上の格差がありました。すでに競技人口ではサッカーの方がはるかに多く、少年育成や登録制度の改革など、将来に向かって手を打っていたのですが、ワールドカップやオリンピックのアジア予選を突破できなかったからです。

ラグビーは野球と同じように、正規国際試合、つまりタイトルマッチがなかったので、国際比較は必要なく早大、明大、慶大という人気のある学校チームの対戦で国立競技場がいっぱいになるということ(編集者のなかにラグビー好きもいたようです)などから、野球のシーズンが終わると、ラグビー記事が花盛りとなったものです。

それがいまは全く違っています。サッカーを特集的に扱うのが一番の売れ筋ということです。

このことで私は『ナンバー』という雑誌を悪く言っているのではありません。どれほど潜在購買力がサッカーにあったとしても、華やかな話題がなければ売る自信は生まれず、従って、層は薄くても東京で大学生に人気のあるラグビーを取り上げるのは編集者として当然で、Jリーグのスタート以降、サッカーが華やかさを増した途端に、ガラリと重点を移した変わり身は素晴らしいと思います。皮肉ではなく、これがジャーナリズムなのです。

◆メディア、あるいはジャーナリズムというのは、まぁ、こういうものです。(だからこそ、サッカー関係者は、長い期間をかけて努力し、メディアが取り上げてくれるような存在にもってきたのです)

◆「馴染みある地上波TV」は『ナンバー』と比べてもはるかに巨大なマスメディアです。だから「売れるもの」「人が見るもの」の放送を優先する、つまりスター優先になるのは当然です。ベッカム報道のエスカレートもそういう流れのことです。今年は大リーグでも、ゴジラ対大魔神などという話題が大きくなるでしょう。

問題は、中田英寿や中村俊輔にむらがりながら、「いいパスを出した」「シュートした」だけでなく、ヨーロッパのサッカーをしっかり見て、記者がどれだけ勉強し、工夫して、欧州の現状や社会とともに歩んだ歴史、あるいはクラブの運営や選手育成にまで、どのように目を配るかーです。

◆テレビ放送は残念ながら一日は24時間。そのうち人が見るのは、せいぜい10時間〜14時間という制約があります。NHKは地上波も衛生も数多くの波を持っていて、いい企画番組を作っているし、また毎週の「FUTBOLL MUNDIAL 世界のサッカー」などは、とても面白いと思います。

◆メディアのもうひとつの傾向は飽きっぽいことと、常に自問自答することです。自分たちがやっていることも、これでいいかといずれは考えるようになります。そのときにワールドカップを経験し、欧州へ飛び出していった現役の記者や放送関係者たちが、どう考えるか ー 私はむしろそれを楽しみにしています。

質問のお答えになったでしょうか。

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