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続・トヨタカップ:シンフォニーのような攻撃

2002/12/07(土)

 12月3日 (横浜国際総合競技場)
 レアル・マドリード 2 (前半1-0 後半1-0) 0 オリンピア 

【シンフォニーのような組み立て】

現代のビッグゲームでのゴールをふり返えるとき、私はいつも、それぞれのプレーヤーの高度なテクニックと判断が組み合わされた、ひとつの芸術作品のように思える。とくに、このレアルの1点目のように、ラウル、フィーゴ、カンビアッソ、ジダン、ロベカル、ラウル、ロナウドで生み出されたゴールは、たとえば 1974年W杯決勝の西ドイツの2点目(決勝ゴール)あのボンホフ、GKマイヤー、シュバルツェンベック、グラボウスキー、ボンホフ(ドリブルからクロス)、G.ミュラー(反転シュート)と渡ったものと同じように、すばらしいシンフォニーのフィナーレを聴く思いがする。西ドイツの方は、ピッチの右半分を使ってのタテのローテーション攻撃だったが、レアルのこの1点目は、ピッチを右後方から左前方へ横切り、そして中央へもどしてきたところが面白かった。、そして、西ドイツと同じように相手との対応に、緩があり急があり、巧まざるタイミングの変化に見どころがあった。

【ラウルの位置どりとノータッチパス】

Tphotoraul021203_1 なかでも印象に残ったのは、ラウルの位置どりと、ノータッチ(さわらないで)パスをやりすごして、ロナウドにまかせたこと。彼の得意のシュート位置へ走りあがり、ロベカルからの早いパスを、受けるとみせて受けなかったことで、相手DF(GKをふくめて)の意表をついた。そのコースのスペースを防ぐ役割のペドロ・ベニテスはほんの僅か反応が遅れた。そこをあけていたロナウドが走りこんできたのに対して、ペドロはボールをカットしようとして、足をいっぱいに伸ばしても取れなかったから、ロナウドにとっては、あとは楽な仕事だった。ゴールをきめたあとの喜び合い、抱き合いのなかでロナウドが2度もラウルを抱きしめたのは、感謝のあらわれだったと思う。

【スペースをあけておく本能】

◆ロナウドの非凡さは、ラウルの気配を察するまで、ロベカル、ラウルの延長線上のスペースをあけていたことだ。

われわれから見れば、どんなプレーでも出来そうなロナウドだが、ゴール前でボールをもらってシュートに結びつけるのには、前を向いて走りこんでゆくのが、もっとも効果的なのを体得しているはず。自分のシュートのスペースをあけておくというのは釜本邦茂をはじめ優れたストライカーの本能的な技術だが、ロナウドもまたこの点は天才的な読みを持っている。そして、その空白地帯へロナウドがはいってくるだろうと予測したラウルもまた天性のストライカー感覚の持ち主といえる。

◆このことは同じような形のチャンスが39分、オリンピアに生じたとき、チームの柱、ミゲル・ベニテスがボールを受けたときに、右からのグラウンダー・クロスの線上にはいっていったから、このため、彼は得意でない左で蹴ることなり、残念にも弱いシュートをGKカシリャスに防がれた。

◆レアルの2点目は、82分にロナウドと交代したグティがその2分後にヘ
ディングできめた。やはりクロスボールからだったが、今回は右サイド。
フィーゴが余裕タップリに蹴れば、このピンポイントで合うというモデル。
それにしてもグティのヘディングの位置(ニアーポスト側、相手DFの前 — つまりニアーサイド)へのはいり方のうまさは、スロービデオで見なおして、感心してしまう。

このチャンスは、まず直前の右CKをフィーゴが蹴ることからはじまる。
1)中央へのカーブボールにエルゲラがジャンプしたが、DFがヘッドして、クリア。
2)これをマケレレが拾って再びフィーゴへ。(このときグティは中央にいた)
3)フィーゴが右足のキックの構えにはいったとき、
4)グティはいったん下がった位置から、こんどはニアーへスタート。(エルゲラは中央へゆく)
5)ボールに合わせて(空けておいた)DFの前へ体を入れてのヘディングシュートだった。

◆私たちは、左のロベカル、右のフィーゴ、2人の当代のサイドアタッカ
ーのクロスボールが、それぞれの選手の個性によって、独特の航跡を描くことをこの試合でも堪能し、それぞれのクロスにあわせたゴールを見ることができた。

 

もちろん、レアルのすばらしさとそしてオリンピアの健闘による第23回トヨタカップの楽しさはこれだけではない。それはまた(続)あるいは(続々)編で —。

(撮影:富越正秀)

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