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トヨタカップ レアルマドリード vs オリンピア

2002/12/06(金)

トヨタカップ レアル・マドリード vs オリンピア

 12月3日 (横浜国際総合競技場)
 レアル・マドリード 2 (前半1-0 後半1-0) 0 オリンピア 

【気合充分のチームのワンタッチ・プレー】

◆試合前、スタジアムのプレス・サロンでフリーのカメラマン富越正秀(とみこし・まさひで)さんと会う。「レアルの練習を見ましたか」と私—。“見ましたヨ。試合形式ばかりでした。相手を背にした選手がボールを受けるとき、止めないで、ワンタッチのパスがつづくのです。”大学生時代からカメラを持って海外へ飛び出していった彼とは30年来のつき合い。練達のフォトグラファーは、試合でも、私のような記者席から離れて見るのと違ってゴールの後ろ、ピッチのすぐそばで見ているから、いつも教えられることが多い。

◆試合のあと、新横浜駅近くの信号のところで広瀬一郎(ひろせ・いちろう)氏に声をかけられる。”あのレアルの気合いのすごさは何故なのでしょう。“長く電通にいてワールドカップやトヨタカップなどビッグイベントのスポーツプロモーションの仕事にかかわってきた、この東大サッカー部のOBは、レアル・マドリードのイレブンのこの夜のプレーにあらわれた彼らのモチベーションの高さに驚き、そのウラに何があるのだろうかと不思議に思ったらしい。

◆その背景が何であったにせよ(レアル・マドリードが日本のサッカー市場への進出を企画しているという話もあるが—)、この夜の試合は2人の前後の話どおり、やる気満々のスター軍団がワンタッチのパスプレーを連発して、その技術の粋をいたるところで見せつけた。得点は2−0だったが、オリンピア側にもシュートチャンスがあったから、ゲームとしてもスリルがあり、現代サッカーの面白さを満喫した94分だった。

【中盤でみせるポストプレー】

ジダン、フィーゴ、ラウル、ロナウドの誰かが中盤のどこかでポストとなり、後方、あるいは左か右に、短いパスを送る、そこに誰かがいて、つぎへの展開がはじまる。

ミッドフィールドがコンパクトになり、スペースの少なくなった現代のサッカーで中盤でボールキープし有効な攻撃を仕掛けてゆくために、このチームは、ワンツーのパスによって、この地域をすばやく通り抜けることを主にした。

個人のキープ力がどれほど高くても、激しいワンマークや「かこい込み」にあえば、ボールを失い、カウンターを食らうもとになる。

その過ちを避けるためのレアルの中盤でのポスト・プレーとそれにつづく、短いパスの展開は、理詰めであって、イマジネーションにあふれ、馴れた手順ではあるが、相手の意表をつく意図が加わっていた。オリンピアの選手には、まことに奪いにくく、難しい中盤での戦いだった。

【フィーゴとロベカルのクロスを生むために】

その中盤優位からの展開のしめくくりは、もちろんシュートだが、そのシュートチャンスをつくるための手順のひとつが、右のフィーゴと左のロベルト・カルロス(失礼して、ロベカルと略することに)が得意のクロスを出す位置で、どれだけのスペース、いいかえれば、どれだけの時間的余裕を持たせるかだった。世界のトップクラスのサイドアタッカーのクロスは、昔でいうカンタリング(中央へ送球する)という大まかなものでなく、どの位置の、どの高さに合わせるかという、いわゆるピンポイントパスである。そしてまた、重要なのはピンポイントへ落とす(ヘディングの高さにあわせる)のとは別に、ひとつの方向へのライナー、あるいはグラウンダーを送って、その線上での複数のシューターをからませる“線上攻撃”をも演出しなくてはならない。

【1点目の手順とフィニッシュ】 <<図:レアル1点目 ボールの軌跡

Tphoto021203ronaldcele_1 トヨタカップその典型が14分の1点目だった。

右サイドの相手のスローインをDF(イエロかエルゲラだったが)がヘディングではじきかえし、それを右前にいたラウルが(第1のポスト)ヘッドで、すぐうしろのフィーゴにわたすところから、パス攻撃がはじまった。フィーゴはこれをヘッドで左へ、自陣センターサークル近くのカンビアッソへ、これをうけたカンビアッソは左斜め前へドリブルして、相手陣、センターサークル、やや外(中央から左より)のジダンにわたす。

ジダンはこのボールを、(相手ゴールに背を向けたまま)右足アウトで、左サイドへあがってきたロベカルへ。(第2のポスト)

ラウルのヘッドから始まった早い展開に、ここまでは妨害なく(相手スローインを取った直後に、右から左へ、早いたタッチでボールを動かしたため)ロベカルは、ドリブルで前進しながら自分のいいタイミングで妨害なしにパスを出せた。

そのロベカルのパスコースにはいってきたのがラウル。右タッチぎわでこの攻撃の発端を受け持った彼は、大きくスワーブを描いて、相手ペナルティエリアの左より2〜3メートル手前まではいってきた。

相手DFの配置は、左へ開いたジダンへ1人が引っぱられ、右にいるフィーゴにも — と、ゴールで正面にいるDF2人の間もスペースができていた。

ロベカルが左から右斜め前へ出した早いクロスがラウルに達したとき、ラウルはノータッチでやりすごす。ボールがゴール正面、ペナルティエリアぎりぎりにきたとき、第2列にいたロナウドがダッシュした。それに少し遅れてDFのペドロ・ベニテスが足を伸ばしたが届かない。スライディングしてしまったペドロを尻目にロナウドは見事なトラッピングに続くシュートで1点目を、GKの右を抜くシュートで奪ったのだった。

ラウル、フィーゴ、カンビアッソ、ジダン、ロベカル、ラウルがそれぞれワンプレーずつからんで作り上げた、最も「ぜいたく」なパス攻撃の最後を、これも最も高価なプレーヤーの一人が、狂いなくきめた。

 

経過を長く語ったので、きょうはここで打ち切り、すぐ続きを送ります。日曜か月曜日にまた。

(撮影:富越正秀)

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