滝川第二と室蘭大谷の試合をサンテレビで見た。40分ハーフの前後半を終わって、0-0、PK戦は滝川第二が4人まで連続して決めたのに対し、室蘭大谷は3人目をポストに当て、4人目がGK福島に防がれて結局4−2で滝川第二が2回戦に進むことになった。
ゴールの中央から11メートルのキックマークに置かれたボールを蹴る「PK戦」は、停止球を誰にも防がれることなくゴールへキックするのだから、全く対ボールの技術、いわばキックの精度(方向と強さ)だけの問題。普通に考えれば、キッカーが有利でゴールは当然なのだが、どうしても決めなければという緊張感もあって、技術だけでなく気持ち(精神)の問題もかかわってくる。
今年のワールドカップのイングランド対アルゼンチンで、試合中のPK(オーウェンがエリア内でアルゼンチンのDFに反則で倒された)をベッカムが決めたのをご記憶の方も多いだろう。4年前のワールドカップでのアルゼンチン戦での自らの失敗と、そのあとに続く屈辱的な日々の記憶を背にして、この大会にやってきたベッカムにとっては、今回のアルゼンチン戦は格別の思いがあったはず。右足のコントロールキックを名手である彼が、右足でゴールの右上すみ、あるいは左下すみを狙わずに「渾身」といった感じで右足を振ったのは、そうした気持ちのあらわれだったのだろう。ボールはゴールキーパーの左側すぐ近くを通った。手を伸ばせば当てることの出来る範囲だったが、ベッカムの気迫に押されたのか、GK自身が固くなったのか、左手は全く反応しなかった。
大選手でも緊張するこのPK戦で、滝二、室蘭大谷ともに最初の2人は自分の狙った方向へ正確に決めている。滝二は二人とも右足でゴール右ポスト近くへ低いボール、室蘭の2人は右足で左ポスト側へやや高い球を蹴りこんだ。両チームともPK戦の練習を積んでいる感じだったが、3人目で滝二の金主将が先の2人とは違って、右足で左ポストぎわへ決めたのに対し、室蘭の3人目は右足で先の2人と同じ方向だったが、左ポストに当ててしまった。これで3-2。
4人目は滝二の田岡が右で左ポストいっぱいに決めて4点目を奪うと、室蘭の4人目西山は、右足のサイドキックで右を狙い、そのボールをGK福島に防がれたのだった。キックする側からすれば、3人目の仲間が蹴ったときGK福島が、そちらに飛んだから読まれていると思ったのだろう。右足のサイドキックで右下すみを狙ったのはいいが、それをGKに読まれ、しかもボールがGKのレンジ(手の届く範囲)に飛んだ。
GKに読まれても、サイドキックで強く、サイドネット内側へ蹴れば、GKには取れないのが普通だが、そのサイドネットへ蹴るには彼がボールへ踏み込んでいく角度が浅かった。もう少し深い角度で入らないと、インサイドキックで右ポスト近くに蹴るのはむずかしい。
トップ選手の中には、右で蹴るとき深い角度で助走をはじめることで、相手GKに右のインサイドで右へ(GKからみれば左へ)蹴ると思わせて、左へ蹴るものもあるくらいで、インサイドの場合は、キックに入る角度が重要になる。
プレーする側や応援するものにとってPK戦は過酷なものだが、サッカーのあらゆる場合と同じように、ここでも正確な基礎技術と冷静さが必要ということになる。
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