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続・ジャマイカ戦:海外組4人のキック

2002/10/19(土)

 【俊輔の初めての里帰り】

Tphotonakata021016_1_2 2002ワールドカップの代表からはずれ、今度ジーコによって招集された中村俊輔には横浜だけでなく日本中のファンが特別な目で今回のプレーを見つめていたハズだ。

その期待の大きさからいえば、彼のプレーに不満の残る人もあったろう。珍しくトラッピングミスもあったし、シュートも失敗している。それは、そうした期待を背にした、自らの気負いもあっただろうし、初経験の“里帰り試合”のコンディション維持の難しさもあっただろう。

しかし、独特の左足の長いパスや、大きくキックするとみせて短いスルーパスを鈴木に送ったプレー、あるいは、ちょっとした繋ぎのパスに彼らしい丁寧さも随所に見られて、4人揃えてみれば — というジーコのねらいは成功した。 

【高原、残念、少ないシュートチャンス】

実のところ、4人のプレーもさることながら、高原が、代表でどういうプレーをするかを楽しみにしていた。Jリーグの後期にはいってのプレーは素晴らしい。彼がゴール前の左外から内に走りこんで右足シュートでゴー
ルを決めた試合を見たとき、そのボールへ走りこんでシュートにはいる動作の早さと切れ味に、1968年春の釜本邦茂の電光石火のプレーを思い出した。この年、冬に西ドイツに留学し、デュアバル監督(後のドイツ代表監督)の指導をうけた釜本は、それまでと見違えるように早く巧みになり、秋のメキシコ・オリンピック得点王となったのだった。その高原を、パスの上手なMF陣がどのように生かせるのかを見たかったが、得点にからんだシーンは素晴らしかったが、高原自身のシュートチャンスが少なかったのは残念。

むしろ今回は鈴木の方にシュートチャンスがあった。

 

【キックの型を持つ者の成功】

セリエAで実績を重ねた中田(英)についで小野もフェイエノールトでポジションをつかみ、今期から中村がやはりセリエAのレッジーナで、稲本がプレミア・リーグのフラムでレギュラーとなって、少なくともシーズン初期は華々しく活躍が伝えられている。

彼ら4人は、それぞれ、体格も、個性もプレーのスタイルも違うが、基本的には、それぞれが、自分の型のキック、自分のキックの角度を持っていることに気づかれた人も多いと思う。体のバネや、骨格の強さ、といった点で必ずしもすぐれてはいない普通の日本の選手にとっては、その機敏さと、それを生かすボールテクニックがまず大切なのだが、技術のなかでも、ボールを確実に目標へ届けるキックの精度がなければ。チームメートの信頼を得ることはできない。そのキックの上達にはまず、本人のもっとも得意な形、もっとも得意な角度でのキックを作り上げること、そして、そこからさまざまなバリエーションが生まれることになる。

欧州で評価を受けている4人そろってのプレーを眺めながら、あらためて、サッカーの基本を思うことができたのは幸いだった。

次はジーコの選手時代と、いわゆる彼らの黄金のクアルテットについてです。

(写真は 中田英寿 日本 1-1 ジャマイカ 2002.10.16 東京/撮影:富越

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